プロの仕事だ……。

ザ・シンプソンズ」のDVDで、ホーマーが、初めて父により存在を明かされた腹違いの兄に会いに行く、という話を観たんですが。
家族全員で会いに行くのだが、やんちゃを地でいく息子のバートが、
「今からbastardに会いに行くんだよね」
と言って親に怒られる場面があって。
"bastard"はもちろん罵り言葉だけど、実際の意味は「私生児」であり、確かにこれから会いにいくホーマーの兄は、ホーマーの父が一度関係した女性が知らないうちに生んでいた、という設定なのでまさしく「私生児」、そういうワケで、ワルイ言葉を言いたいばっかのバートが、
「だって孤児院に入れられたんだろ、ほんとにbastardじゃん、bastard、bastard」
とわざと連発して親にまた怒られる。
んだけど、「私生児」がメジャーな罵り言葉にならない日本語に翻訳する場合、どうするのか、というのは大きな問題だ。
字幕は、そのまま「私生児」になっていて、確かに罵りや言っちゃいけない言葉ではないが、言われた当人はよく思わない、という意味ではこのままでいいのかも知れない。
しかし、吹替えはすごい。バートは、
「おじいちゃんて若い頃は女たらしだったんだね」
と言って怒られ、
「だって結婚する前に子供生まれちゃうなんて、女たらしってことじゃん。女たらし、女たらし」
と連発して怒られる、ということになっていた。
……プロの仕事だ……。視点の変換によって、日本語の会話として自然な流れになっている……泣ける。