自分を合議制にする

今日投下するのものが受け容れられるかは判らない。
だが、夜中は頭のたがが外れているので、投下してみる。
明日目覚めたときに大後悔してること請け合い。 
 
 
この2年ほどの私の個人日記(非公開)は、基本的に自分のなかに別キャラを設定し、それらと対話する、という方法を取ってきた。
別キャラのすべては男性。
この、男性たちが、ユングの言うアニムスだと判って、安堵したから公開しようと思ったというのもある。
 
 
自分のなかの誰かとの対話は、同時に治療でもある。
私は別に病名のつくような心の病気を患っているわけではないのだろうが、心の奥底が何らかの「癒し」を求めているのは確実だ。
それを、自分で行う。
 
特に、ドラマ「タンブリング」と出会ってから、自分の心が一気に「合議制」の色を帯びてきた。
何かに迷ったら、心のなかで「タンブリング」メンバーに、訊くのだ。
で、彼らが色んな意見を投げてきて、何らかの固まった答えが出てくる。
 
それを、今日は日記でやってみたので、うpしてみる。
(自分用日記なので判りづらい表現が出てくると思うけど、そのままうpする。)
 
最初は普通の日記。
 

20100904
 
タンブリング」に出会ったころ、毎週すがるように観ていたころ、私はあの世界がなかったら生きられなかった。
 
実際に、前へ進む力を得るという意味では、航(註:「タンブリング」の主役)の存在のほうが大きかった。
 
が、ごまかせない、否定できない、これまで探し続けてしかし同時に自分で見つけるのが怖くてしかたなかった、自分のなかの、ある種恐ろしいもの、共存しようとし続け、あまりに「それ」のエネルギーが強いゆえに負け続けていた何か、たとえるならば、「タンブリング」にいきなり出会ってけつまづいて転んで、起き上がるとき、気づいたら「それ」を自分の手が握っていた、そんな経験をしたのは、間違いなく木山というキャラクターがいたからだ。
 
自分の心が「タンブリング」メンバーによる合議制になってから、木山から何らかの答えをもらう機会はあまりなかった。
が、それはありていに言えば彼と向き合うのが怖いからで、なぜ怖いかと言うと、彼が私のなかの、呼び覚ましたくないものを呼び覚ますからだ。
 
来週の舞台(註:主役は木山)がある種「怖い」のも、同じ理由による。
(木山を演る)大東俊介が、私の心を動かさないような演技をしてくるはずない。
タンブリング」のスタッフが、私の深いところに語り掛けないような作品を作るはずない。
それへの準備ができているのか?
そういう問いが、自分のなかにある。
 
(註:ここから対話)
 

☆火野哲也との対話
(註:火野くんは、ドラマではただひとり体操エリートで、つんけんしているキャラ。でもほんとはいいヤツw)
 
●私
火野くん、私のなかの、「これ」は、一体何なんだろう?
●火野
何で僕に訊くんですか。
●私
あなたはいつでも自分の情熱のほんとうのところを知っていたでしょう?
でも意地を張って、外に出せなかっただけでしょう?
でも私には判らないんだよ、自分の「これ」が何なのか。
●火野
……それを見つけるのが人生ってやつじゃないですか?
●私
そうだけど。
これまでかかった年月を考えると――
●火野
あなたも、よく判ってると思いますが、知るのが怖いんです。
●私
ああ、判ってる。
知るのが怖い、というからくりは、ずっと前から判ってる。
なのにいつまで経っても踏み出せないのが――
●火野
踏み出してるじゃないですか。
あなたの、「それ」が、「タンブリング」を求めたんです。
タンブリング」を見つけさせたんです。
こんな大きなできごとに、「偶然」なんてあるはずない。
僕は合理主義ですけど……「心」は信じてる。
演技するときは、それと向き合うしかないですから。
心は僕らを支配する。
ここまで来たなら、もうあなたがどうするか、それしかないです。
「心」のほうは決ってる。
だから「タンブリング」をあなたに見つけさせた。
さあ、どうしますか?

 

☆木山龍一郎との対話
(註:木山は誰ともつるまないヤンキーキャラ。もんのすごく優しいのに、目が怖いので周囲から恐れられているw 中学時代にある事件があって、孤立を好むようになった。)
 
●私
……やっと……表に出てきてくれましたね。
あなたは……あなたは誰ですか?
●木山
それは俺の口から言ってもしょうがないんじゃないのか。
●私
あなたは口で語らないゆえに、逆に存在そのものが雄弁すぎる。
よく判らないけど、あなたは個人でありながら全体なような気がする。
それは私自身が個人でありながら全体であるのと同じように。
私はあなたのようにいい人間ではないが、でも、向いている先は常に「全体」だった、全体を取り込もうとして、それがあまりに傷多い道ゆえに、挫折し続けてた。
あなたは……あなたは一度すべての道を閉ざしたけど、教師になることで「全体」を見ることにした。
自分以外の複数の人間に、自分が苦しみながらつかんできたものを、伝えることにした。
なぜ私にはいまだそれができないのだろう?
●木山
伝えるとか伝えねえとか……そういう問題じゃねえ。
人間は自分のやりたいことしかやれない。
あんたはむしろ今まで……自分がやりたいことを否定し続けてきたんじゃないのか?
●私
…………。
●木山
もう自由になりなよ。
誰もあんたを止めねえからさ。
●私
あなたは……私がなりたくてなれなかった人だ。
あなたをいつも、ある種の、原風景のように見ていた。
「あなた」は、在るはずだった。
私の生きる世界のどこかに、在るはずだった。
でも私の現実は、私は女で、あなたのように度胸もなく、優しくもない。
私はあなたになりたかった。
あなたが呼び覚ましたものは……私が魂の底から何を欲し続けて、そして、いかにそれが手に入らないことを嘆き続けたか、その歴史だ。
あまりに長いあいだ嘆き続けて、私は立ち上がることを忘れた。
自分にも、自分にしかできないことがあって、一日も早くそれをやればいいと判っているのに、心の底からエネルギー奪われて――もちろん奪ったのは自分自身だ――いつになっても動けない、そういう自分になっていたことを、知りたくなかった。
私は男に生れることができなかったのが悲しいんじゃなくて、こういう自分になっていたのが悲しかった。
自分が男になれなかったからと、それを嘆いて、恨むことしかできない、それが私の人生だった。
私はそれを知りたくなかった。
毎日、自分が女だからこんなに不幸だと言っているほうがラクだった。
●木山
と言うか、もう不幸ごっこするのに、疲れたんじゃないか?
俺がどうのって言うんじゃなく、あんたは、あんた自身で、疲れたんだよ。
もう、こんなのは疲れたって、もうやめようぜって、あんたのどっかが言ってんだよ。
それが……まあ火野的言い方をすれば、「タンブリング」を引き寄せた。
ほんとはもう、あんたのなかの不幸ごっこは終ってんだよ。
気づけてないだけだ。
●私
………………………………。
●木山
心のなか、俺らといて、楽しいか?
●私
もちろん。
●木山
だったらそれでいいじゃないか。
生きてるならやりたいことをやれ。
●私
それがまだ見つかって――
●木山
そうか?
俺にはそうは見えねえけどな。
●私
自分のなかの誰と対話してもそういう言い方をされる。
もう知ってるはずだ、判ってるはずだ、と言われる。
●木山
で、「気づいてないだけ」だ。
判ってるのと、気づいてるのは、違う。
●私
……よく判んない。
●木山
判ってても、体が動かないとか、あるじゃん。
逆に、判ってなくても体は勝手に反応するとか。
ケンカなんか特にそういう感じだ。
●私
……ああ。そういう意味でいくと……何に「気づいて」ないんだろ?
●木山
さあな。
俺に教えてもらったら面白くねえだろ。
●私
そんなあ。
●木山

ま、航(わたる)あたりなら、ぽろっと口すべらせてくれるかもな。

 

東航(あずまわたる)との対話
(註:航は「タンブリング」の主役でヤンキーのアタマ。ケンカは超つええ。単細胞を絵に描いたようなヤツだが友情に厚いアツい男。)
 
●航
っだあ、俺んとこ来んなよ!
●私
ちょwww
いや、文句言うなら木山に言ってよ、私はむしろあなたがほんとに口すべらせるかどうか見に来ただけなんだからw
●航
んだそれ!
そんな言い方されて、口すべらせるはずねえじゃん。
って言うか、俺そういう難しい話判んねえし!
●私
またまたあ。
ってかさ、真実なんて、難しいもののなかにはないんだよ。
●航
だから!
そういう言いかたが、難しいっつってんだよ!
●私
いや、真面目な話、あなたほど、「真実」、と言うより、「真理」かな、そういう重要なことを、ぽろっと言っちゃう人は、いないと思ってさ。
●航
思ってさ、って。
木山に言われて来たくせに。
●私

この4ヶ月間、あなたは私を励まし続けた。
あなたは前へ進むことしかしない。
私は自分の足に鎖をつけることしかしてこなかった。
だから、あなたの強さに、びっくりして。
で、ここまでついてきた感がある。
●航
そりゃあ、俺様は強いに決ってんじゃん!
●私
いや、ケンカの話じゃないよw?
●航
んなこと判ってるよ!(←ほんとは判ってなかった航)
つうかさ、んなことよりさあ、いつまでこうやってグダグダやってるつもりだよ?
●私
は?
●航
俺らなんかと話したってしょうがねえじゃん!
●私
しょうがなくないよw
この4ヶ月の私の生きかたはこれだったんだから。
自分の心を合議制にして、色んな自分の意見を聞く!
●航
ごうぎせい?
それ俺らと何か関係あんの?
●私

って言うかさ、航は最高なんだよ。
航が動いたら、周りも動かずにいられないじゃん。
ひょっとしたら私もそんな感じで、あなたに引っ張られてここまで来たのかもね、「タンブリング」と出会ってからは。
●航
……つうか、あんたもさ、自分で動けるようになりなよ。
俺が……俺らがいても、いなくても。
あんたはあんただろ?
●私
…………たぶん、そうなるのが怖いんだろうなあ。
もう何年、前に進むのが怖いって言ってるか、判んないけどね。
まだ、怖いんだよね。
ここじゃないところに行ったら、どうなるか……って言うより、想像もつかないんだと思う、だから怖いんだ。
いい結果が待ってる、って保証がないと、動けないんだろうね。
情けないよね。
●航
……あんた、ほんとはまだ木山と話したいんじゃね?
行ってこいよ。

 

☆再び木山との対話
 
●私
ゆうべ、考えてた……あなたに関して、中学のころの事件があってから、「行動の結果」を恐れすぎて、動けなくなったって。
でもそれってまさしく私自身なんだよね。
●木山
俺と話さなくても答えは出せるはずだ。
もしこれからあんたが「行きたいところ」に行って、そこで何かあるたびに、こうやって俺たちと話すのか?
●私
それでもいいと思ってるけど……そのころは、あなたたちじゃなく、別の誰かかも知れないけど、ともかく、自分のなかの誰かを呼び出して、って方法は、間違っているとは思わない。
●木山
そうだとしても、俺のほうには話すことはない。
●私
……。
●木山
「自分で」考えることを忘れるな、って言ってるんだ。
●私
だからこれは、この、自分内対話ってのは、自分で考えることであって――
●木山
自分との対話なら、こんなふうに別の人間呼び出さずに、自分対自分でいいだろ。
●私
人間のなかには複数の「自分」がいて、そのそれぞれが違う意見を持ってて――
●木山
そうじゃなくて!
そういう考えかたが間違ってるって言ってるんじゃなくて、あんたは俺を「生きよう」としてるんじゃないかって、心配なんだ。
女はいやだった、男に生れたかった、でも現実がそうじゃないことを嘆くだけの人生に疲れたことに気づいて、「タンブリング」に出会った、で?
また心のなかで俺を、自分じゃない誰かを、「生きよう」ってのか?
●私
小説を書くってのは……つまりそういうことかと……。
●木山
だったら書くな。
●私
え?
●木山
そんな動機だったら外に向けて書くな。
こうやって自己満足で書けばいい。
どう違う?
あんたは書くのが好きだ、それが自己満足だろうが、他人に意味があるものだろうが――
●私
自分だけのために書いてることが、他人を癒すことがある。
私はそうやって書かれたものに救われ続けた。
あなたを「生きよう」とすることが、悪いとは思わない。
●木山
でもそれじゃ……自己憐憫だろ?
俺みたいになりたかったと、男として生きたかったと、そうやって嘆くから、あんたは俺を「生きたい」、「書きたい」、けど、それじゃ――。
書くことと嘆くことが一緒になっちまう。
もうそれを繰り返してほしくないんだ。
●私
………………。
私はほんとは、あなたみたいな「優しさ」に、出会いたかったのかも知れない。
私の人生には、なかったから。
●木山
………………。
●私
もちろん、ほんとは優しさはいっぱいもらってたのに、私が気づけなかった、拒否してきた、ってのがほんとのところだってのも判ってる。
●木山
そういうことじゃないんじゃないか?
あんたは……自分のなかの優しさに気づくのが怖かったんだ。
よく考えてみろよ。
あんたは、俺が実際どういう人間だろうが、周りにヤバイヤツだとか誤解されてるキャラであることに、ほんとは反応してたんだろ。
●私
え……。
●木山
そこに自分を重ねてたんだろ?
●私
……気づかなかった……。
●木山
「誤解」は、あんたの人生だ。
●私
……はい。両親相手を初めとして、こちらの申し開きは許されないような、そんな人生だった気がします。
……そうか……それで痛いほどあなたというキャラが愛しかったのか……。
●木山
あんたは、とっくに、俺みたいな人生を、「生きて」たわけだ。
リアルで。
●私
………………誤解は……
●木山
ん?
●私
誤解は……あなたの場合は解けましたけど……
●木山
それを考えるなら、こう考えろ。
「俺は誤解されてたほうが都合がよかったんだ」。
誰も寄せつけずに済むからな。
あんたも……そのほうが都合がいいんだろうな。
●私
それは何となく自覚できてます。
 
(中断〜再開)
●私
あなたを知って……魂の、足元からがくがく揺さぶられるほどに、震えた。
自分が、あなたじゃないのが、吐き気がするほど悲しかった。
でも、同時に、「タンブリング」は、私の、「世界」で。
すべてが忘れられるほどに、楽しかった。
放映しているあいだじゅう。
ほとんど、高校時代を「生き直した」のに近いほどに、リアルだった。
男とか女とか関係なく、自分自身が、航に、あなたに、他のメンバー全員に、なれた。
普段は嘆くか恨むことしか知らない私の魂が、躍動してた。
放映してるあいだじゅう……そして今、DVDが出て、もうずっと、私のそばにはあの世界があると思うと……
●木山
人は何度でも生き直せるんじゃねえのかなあ?
そんな気がするよ。