龍の棲む家/玄侑宗久

本てか、「文学界」に載ってた中篇。
 
この人の言ってることにはとっても興味があるのだけど、小説の相性はよくない気がする。
「水の舳先」というのを数年前に読んで、こっちは嫌いじゃなかったけど、すごく面白かったわけでもないし、今回の「龍の〜」になると、うううん。
 
自分のこと棚にあげて書くけど、この小説は男性視点で、ひとり女性が出てくるのだが、その女性を見る主人公の目はいいとしよう、男はあんな感じなのだろう、ってかむしろ「やっぱ男の人ってこういうとこ見てるよね、そうだよね!」とお墨付きもらった気分だったが、でも女性の行動の心理的裏づけがよう判らん。
結局最後は「みんなで家族になるんだよね」というのをにおわせて終るけれど、それまでのあの女性登場人物の行動からみると、主人公にかなり線をひいてる感じなんだよね、ちゃんと。
(めんどいのであらすじは書きません、すんません。)
主人公が特に何の意志もない男で、父親の痴呆に常に戸惑っていて、自分に対しても煮え切らないというのが判っていて、で、「ま、そんなことどうでもいいわいな」というところで、彼女自身の理由のみであの家族に仕事として関わってる、ってスタンスにしか見えんのだが、なぜ最後に主人公とああなるのだろう。
 
あと、「人間の中に龍が住む」というのは、私が知る限りは宮部みゆきも「龍は眠る」で書いてるけど、私には「龍は眠る」での説明のほうがしっくりきた。
ま、これは龍を暴れるものと取るか、ある種の神ととるか、の違いからくるのだろうが。
 
そんなわけで、何か読んでしっくりこなかったものを吐き出してみますた。