「キングがいく-MACHINE HEADによる被害報告編」17

下記はSLAYERとMACHINE HEADを茶化すために書いたフィクションです。

17.
 ケリーの表情は変わらなかった。
「教えてどうなる」
「そこから脱出できます」
「カギがないだろう」
「話してくれたら見つけてきます」
「交換条件のつもりか」
「偶然の産物ですがね」
 ケリーは一度鼻の頭を触ってから、
「そろそろ暗くなる、先にカギを見つけるだけ見つけてこい」
「……いいでしょう」
 デイヴはカギがありそうな方向に向かいながら、今の会話はちょっとハリウッド的ではないか、と考える。
 ハリウッドではこのへんで主人公が現実離れしたラッキーさに恵まれ、いきなりカギを発見するのだろうが、現実ではそうは行かない。途中何度もこのまま帰ろうかと思いながら、陽が完全に傾く前になんとか目的物を発見。
 鈍い金色のカギを手に、ケリーに宣誓する。
「ロブのこと、話してくれたら、ケージを開けます」
「その前に、とりあえず肉を犬にやってくれよ」
「ああ、じゃあこうしましょう、ほんとのことを教えてくれたら犬に餌をやります。さらに、今後、一切俺たちの悪口を言わないと約束してくれたら、ケージを開けましょう」
 ケリーは不服さを鼻から吐きだすように息を吐いた。
 しかし、周りを囲む数頭が、さっきからふんふんと自分をかぎまわり始めているのに気づいているのだろう。「もっと普段から犬と交流しときゃよかった」と小さく言ってから、
「あれは2年前のことだ」
 と語りだした。
 
(18につづく。)
 
全編はこちらにupしてあります。
http://homepage3.nifty.com/kreutzer/KiokuStoriesKingFlynnInt.htm