ホラーと拳銃

他ごとやりたいんやけど書いてかんと忘れる。
 

棲家 (ハルキ・ホラー文庫)

棲家 (ハルキ・ホラー文庫)

誰が見ても不気味でしかない洋館にある一室が賃貸に出されてるんだけども、なぜか若い女性の中にはその不気味さが判らずいたく気に入って借りてしまい、えらい目に遭う人がいる、という話。
なかなか怖かったですよ。
まあ最初から霊を信じない人には説得力もへったくれもないが、それなりにいるんじゃない、と思っている向きには、なかなか説得力のある設定と展開と理屈でございました。
 
この本でひとつ今自分が考えてることと似てる部分があったのですが、例えばふたつの家が何代にもわたり憎み合っていた場合、時が続くにつれ憎しみが薄れるどころか凝縮されていく、というような考えです。
人間のもつ負の部分が、人間の営みが長くなるにつれ濃くなるというのは、最近私がたまに考えていることです。
大きい話をすると、民族間の対立もそれに含まれるかも知れませんが、私が最近考えているのは、もっと小規模な、親子間での負の感情の継承です。今はまだうまく説明できません。
(ただ、凝縮されるから、継承されるからと言って悲観しているわけではないことだけ書いておきます、何つーか、気づけたなら、解消する努力をすればいいのです。)
 

わが手に拳銃を

わが手に拳銃を

拳銃と工作機械と政治に翻弄される男たちの20年以上にわたる物語。(工作機械は翻弄されるってより主人公が偏愛してるだけかw)
文庫版化されるとき、「李歐」とタイトルも変った。(こっちは未読。)
工作機械ってのは自分の翻訳専門分野なので(と言っても理系人間ではないので理論的な話はよく判ってない)、自分としてもある種の感慨を持ちつつ読んだけど、時間の流れについていけなかった。
主人公がはたち過ぎのときから小説はスタートするけど、7歳のときの回想が入り、で筋自体は主人公がはたち過ぎ〜40前になるまでがカバーされている。
 
主人公が惚れこむ李歐という中国人は確かに魅力的なキャラだけども、主人公に関しては、これでもかというくらい彼の内面が描かれているにもかかわらず、そして美男子にもかかわらずw、あんまり魅力を感じなかった。李歐を描写するための媒体、って位置づけであるなら、まあそれもありかとは思うけど。
 
まー高村薫の作品なんで、政治体制は大きなキーワードではあるし、彼女のスタンスには共感しないけど、ただ、自分が中国に対して持つ思いが何なのかは、この本を読んで少し鮮明になってきた。
中国共産党という厚い層に塗り込められてしまった下にあるもの、政治体制が関係ない、ただ長い歴史を重ねてきた場所に住む人たちの集まり、そこへの思慕、ってのが自分のほんとの思いなのだろうと。
 
ま、そんなようなことを考えていました。