藤原母子、哀川翔、etc.

最近読んでた本。

祖国とは国語 (新潮文庫)

祖国とは国語 (新潮文庫)

藤原正彦は先般、英語が小学校で必修に決定したときも苦言を呈していたが、この本に収録されている2003年の論文、「国語教育絶対論」でも国語、日本語教育の大切を説いている。
他にも様々なエッセイが収録されているが、興味深いのは「満州再訪記」。出生地である旧満州を家族と母と一緒に訪ねた際の記録だ。
って堅い内容に思えるかも知れないが、基本的に、「当時とはあまりに様相が変っていて、目的の場所がなかなか見つからない。母に訊いても『そんなの覚えてませんよ』と言われる」とか、そういうくだりが多くて、著者の思い入れと対照的な母親の泰然とした感じが何か笑える。
流れる星は生きている (中公文庫)

流れる星は生きている (中公文庫)

↑の藤原正彦の母、藤原てい満州引き揚げ記。
これを読んでるとき、二度ほど電車を乗り過ごしそうになった(笑)。そのくらい引き込まれる本だ。
壮絶な内容だが、時が経てば↑で書いたように泰然とできるのだなあ。老人になったからなのか。女性だからなのか。ひとりで子供3人を日本に連れ帰った母だからなのか。そんなことを今ちと思いますた。
私語辞典 (角川文庫)

私語辞典 (角川文庫)

好き嫌いが分れる作家だが、わしはエッセイしか読んだことがなくて、嫌いではない、という感じ。小説では私小説ばりに自身の(濃い)恋愛について書いたりしてるのですよね、それは興味がないな。
著者は在日韓国人なので、家族の記述が興味深い。バックグラウンドが違えば常識が違って当然なのだ。
翔、曰く

翔、曰く

兄貴の発言集。何年か前に買って母親に貸したままになっていた(笑)。
まー10年以上前からファンだったってのはけっこう自慢だね、出演作品あんまり観たことないけど。
鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)

鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)

流行っているときは読まない。(天邪鬼なので。)で、今頃読んだ。
あとがきによると、この短編集は「奇跡」がテーマで、現実ではありえぬことが起る話が多い(死んだ人が現れるなど)。でも「あってもいい」奇跡だとは思うな、そういうのは。
地下鉄(メトロ)に乗って」もそうだけど、そういう「あってもいい」奇跡を描いているこの短編集も、全体が不思議な優しさに貫かれている。
ちなみに、わしが哀川翔のファンになったのは、この浅田次郎の「とられてたまるか」をVシネマ化したのを観たのがきっかけで、哀川翔の役は「じろうちゃん」。小説は読んでないけど、浅田次郎は893をやっていたことがあるらしいので、恐らく自分の過去について書いたものだろう。