理解されないのなら口を閉ざす

いまだ、時に、胸がつぶれそうな、という思いが去来するのである。
見えない敵をこさえてふつふつと怒るという不毛の時間を過すのである。
そして、そのあとに訪れるのが、決って、例の「胸がつぶれそうな」思いだ。
 
私の尊敬も、憧憬も、熱意も、所詮きわめて私的なのであり、誰の手にも触れ得ない。
それは誰もが同じだ。
 
あなたの尊敬は、私には理解できないだろう。
彼の憧憬は、あなたには理解できないだろう。
彼女の熱意は、彼には理解できないだろう。
 
それで気持ちが通じただの、同じ気持ちだのと、笑い話もいいところである。
 
繰り返すが、私の尊敬は私の尊敬だ。
それに疑問を投げかけられたり否定されたりするなら言わぬほうがましだ。
 
日々、心は震えすぎるほどに震えている。
この状況に、さらに鞭打つようなことはしたくない。
 
だから私は言わない。
心底尊敬する人があることは言わない。
 
理解されないのなら口を閉ざす。
 
(注)
以上は半分実験的な試作です。