ナード/ロックスター/ジョック(一部キング評)

オーストラリアにいたころ、ベトナム系ドイツ人と知り合った。
ちょうどRAMMSTEIN(ドイツ出身)がはやり始めたころだったので、知っているかと訊いたら、「あんなの聴いてるのはへんなヤツばかり」と言われ、しょんぼりした。
 
RAMMSTEINはヘヴィロックのなかでもメインストリームとは言いがたいが、ヘヴィロック自体、欧米でも、まだ侮蔑の対象になるときもあると思う。
特にアメリカは、スポーツができる男性の地位が非常に高く、子供のころから歴然と階級(スクールヒエラルキ)が存在する。
 
階級で一番位が高いのが、さきほど書いたスポーツができる男性で、ジョックと呼ばれる。
その説明はここに詳しい。

ジョック-Wikipedia

 
ジョックの対極とされるのが、ナード(おたく)だ。
上記Wikiによると、以下のものに熱心になるとアメリカではナード認定されるとある。

音楽系(ロック、パンク、メタルなど、特定の音楽に傾倒する者)

ゴス

僕たち・私たちの大好きなヘヴィロックは、めでたくナードな趣味らしい。
ってことは、うちらの好きなバンドの人たちというのは、アメリカのバンドの場合、ナードというレッテルを貼られながらがんばっているのか。大変だな。
などと、スクールヒエラルキをもとにヘヴィロックシーンを見てみると、なかなか面白い。
 
まず、私はある人物のことを考えた。
僕たち・私たちの大好きな、SLAYERのケリー・キングさんだ。
彼の現在の風貌は、マッチョさを意識しているとしか思えないのだが、彼はもともとナード度の高い方である。
と言うか、たぶん典型的ナードだったと思う。
「Seasons in the Abyss」のころのインタビューで、トム・アラヤが、
「ケリーは友達もあまりいなくて、いつも図書館にいるような、おとなしい生徒だったらしい」
と回顧しており、ケリー自身も、
「理系、とくに物理が得意だった」
と言っている。
「スポーツでも大活躍だったぜベイベ!」
という発言は私の知る限りでは、ない。
 
彼の場合、たまたま体重が増加して体格がよくなった、とか、たまたま頭髪(中略)スキンヘッドになった、とも言えるが、結果的に、

ナード→ロックスター→マッチョ(スポーツマン的外見……と言ってもスポーツ=レスリング限定だけど)

という道をたどることとなった。
とは言え、たぶん彼は中身は変わっていなくて、自分のこともナードなおっさんと思っているとは思うのだが、外見を硬派にすることのこだわりはあるようだ。
そしてその背景にはやはり、硬派で男性的であるほうが地位が高い、というアメリカの階級があると思う。
 
ちょっと話ズレるけど、「COMBAT」なんちゃらって昔のビデオあるじゃない、あれでのケリーの地味さをぜひ見てみてくださいよ。今の饒舌さからすると100分の1くらいの発言量だから。
あと昔の写真とかさ。
「South of Heaven」の裏ジャケとか、どうなの? 
何か
「ほんとのメンバーが急病で撮影を休んで困っていたところ、何かむさくるしい人が通りかかったから、とりあえず入ってもらった」
って風情なんですよ。
ちまたでは「高校デビュー」とか「大学デビュー」って言葉があるけど、あの人はSLAYERとして成功した道のりでやっと自分らしさが開花して自信をつけたという感じだから、それこそ「おっさんデビュー」だよね。
 
ジョック対ナードに話を戻すと、あのバンドで、ジェフ・ハネマンがやたら飄々としている理由も、このジョック対ナードという図式をもとに考えると、面白い。
 
このほか、MACHINE HEADなんかもジョックという概念を通して見ると、いろいろ考えられる。
このバンドは、私の記憶が確かならば、何だか最初はやたらマッチョなイメージで売り出してきていたように思う。(ごめん、ソースはない。ただ、印象。)
そこに、私はジョックに対するコンプレックスを感じるのだけれども、どうなのだろう。
"American High"の歌詞があるていどロブ・フリンの学生時代をそのまま描いたものだとすると、彼は、
「体育は得意だったけれども、いじめられたこともあったし、モテなかった」
そうだ。
(ものすごい要約www これロブが聞いたらさらに日本嫌いになりそうだwww)
 
あとは、KORNのジョナサン・デイヴィスとフィールディーの関係とか。
(フィールディーについてはLAのギャングコミュニティ文化も視野に入れないといけないので図式は複雑なのだが。)
あと、トレント・レズナー……については10年前くらいの日記で考察したことがあるw 当時の日記をひもとく機会があれば、そのとき公開したい。