隣の部から発掘

かつて同じ課だったオサーンでひとり、オクレと名づけ、(ネタ収集対象として)愛で続けた人がいたと以前書いたが。
 
彼が別の課に行って、久しい。
仕事上つながりがあるため、交流もネタ収集も変わらずできるのでまあいいのだが、課が変わって約半年、そこはかとない寂しさがあるのは否定しない。
それはかつて、オクレの席がわしの隣の隣で近く、常に彼を観察できたからであるが。
 
ところで、わしの席も元オクレの席も、隣の部と隣り合っている。(課、じゃなくて、部、ね。)部と部の間はパーテーションで区切られているだけで。
で、今朝、隣の部の部長が、
「あのー、これ、おたくの部の資料ではないですか?」
とおずおずとうちの課にやってきた。
その人の陣地で、なぜかその資料が発見されたというのである。
 
わしは「休み前に風で飛んだかな」と思ったのであるが、受け取ったうちの課の人が、
「これはうちの部の○課のですねー」
と言っている。
○課、それは今オクレのいる課、しかしその課から隣の部までは遠く、さすがに風では飛ばない。
わしはこの件にオクレが絡んでいるのは感づいていたが、しかし、風で飛ばずにいかにして隣の部に資料を紛れこませることができるのであろう。
 
すると、資料を受け取ったうちの課の人はさらに、
「これは去年の夏の資料ですねー、オクレさんが作ったやつだ、彼がうちの課にいたころのじゃないですか?」
と言った。
つまり、オクレがわしの隣の隣の席だった時点で、どういう経緯か隣の部の陣地に資料が紛れ込み、このほど発見されたというわけである。
 
おそらく、こういう技は、オクレにしかできない。
うちの部において、わけわからん事象というのはたいがいオクレのしわざだ。
たとえば、ものがなくなるとか。
机を移動したらピーナッツがいっぱい床のうえ発見されるとか。
共用机の引き出しが気づいたら満杯になっているとか。
 
わしが個人的に遭遇したわけわからん事象は、オクレから年賀状が二枚くるという事象だ。
一枚はオクレ本人、もう一枚は奥さんが送ったものだと思われる。まあつまり、夫婦のあいだでまったく意思の疎通がないのだろうということなのだがw
 
こんなオクレを持って、我が課は幸せだ。幸せのはずだ。いや、どうかな。