才能の枯渇なんてありえねえ

「十三階は月光」、買ってから毎晩聴いてるわけだが、一番好きな曲が意外にも"Romance"になったりだとか、3曲ほどは除いて総て気に入ってると言える感じになったりだとか、変化はあった。
1回めに聴いたとき、

「Sexy Stream Liner」が出たとき、その音数の少なさに驚いたのだが、今回はそういうところも超越した、それこそバンドという編成さえ忘れさせるような、「音」で「物語」を語り、そして「見せる」ことに成功しているね。

と書いたんだけど。
星野氏作の"Cabaret"の冒頭部などに音数の少なさは顕著だけど、だからこそ音のない部分や音の層が大変薄い部分に空間ができ、そこにはやはり、夜の闇の中にしか見えないような、何かが潜んでいるような感じがする。うまく言えないのだが、夜潜入したら恐ろしくてたまらない無人の洋館が、昼間に訪れるとただの空き家だと判る、そんな感じがあるから、自分は太陽が出ている間はこの作品を聴かないことにしている。(そして、そうやって聴く時間を制限しているからこそ、「聴きたい」という欲求が強くなり、飽きないためにはこれはいい方法だと思った(笑)。ってB-Tの作品で飽きるなんてついぞないんだけどさ。)
  
話がズレまくってるが、エントリ名に書いた「才能の枯渇」に関して。
今回の作品を聴くようになって数日経ったとき、すげえ好きな作品ではないが、妙に安心してることに気づいた。
思えば、「Mona Lisa Overdrive」は、わしにはとても判りやすい作品だったが、正直、それまでの焼き直しってイメージを持ってしまったし、才能的きらめき、ってとこから行くと、「極東I Love You」の方が上で、もう限界がきているのかと思った。
が、今回でアレですから。自分ではとても理解できん音楽的な懐の深さを凄まじいレベルで見せられて、前作のときの心配が杞憂だったと判って安心したのですな。
  
歌詞に関しては、ま、あれはあれでいいのかなと。つーかさすがな部分満載ではありますよ、自分としては"夢魔-The Nightmare"が一番すごみがあると思った。「百鬼夜行」って、使わねえ、使わねえ、んな言葉、フツーは。
総てフィクションな歌詞世界を拓いた、とか最初は思ってたけど、よく考えたら、元々B-Tって、ってか櫻井氏はフィクション系を書いてたんだよな、特に「悪の華」ね。そして、よく考えたら、今回の路線は「悪の華」とすげえ共通してるじゃん、と。「狂った太陽」からの、自分の心から出る血を言葉にする系の歌詞が、ある意味突然変異であって、まー「Hurry up Mode」時代なんかの青さ満点の歌詞は置いておいて(でも好きだけどさ、特に今井くんの恋愛モノw)、「Seventh Heaven」〜「悪の華」で向ってた方向は、明らかにフィクションの世界を描くことで提示するエンターテインメントだったはずなんだ。それが、櫻井さんの母親の死でがらりと「苦悩」系に変って。
  
そんなことを再認識できた意味でも、今回の路線変更を歓迎する。まー音的にはいつかまた判りやすいものを作ってほしいけどw